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お金の貸し借りを巡るトラブル

 お金を貸したときに証拠となるのは借用証ですが,借用証をせっかく作っていたとしても,後日思わぬトラブルに発展することがあります。トラブルの元は,お金を1回1回貸したごとに借用証を作るのではなく,過去に貸した分全額を最後にまとめた金額で,一枚の借用証で作ってしまうやり方をとってしまったときです。

 ここでは,平成25年12月10日の最後の5万円の貸し付けのときに,これまで何回かに分けて貸していたお金の総額(金100万円)を記載するやり方で,「平成25年12月10日,金100万円を貸した。返済は1ヶ月後とする」(例)旨の借用証を作った場合を例にして説明します。

 上記の例で,後日,返済期限までに借主からの返済がまったくなく,貸主が電話等で督促しても返済してもらえないため,貸主が,借主に対して,金100万円を返して欲しいという裁判を起こし,借用証を証拠として提出したとします。これに対し,借主(被告)は,裁判での反論として,「平成25年12月10日に100万円というまとまった金額を借りてはいない。そのとき借りたのは5万円だった。過去に借りたお金は,多くてもせいぜい50万円までだ。なんとか5万円を借りたかったので,借用証の100万円という金額には納得していなかったものの,しぶしぶ署名押印しただけだ」と言ってきたとき,裁判の行方はどうなるでしょうか。

 法律用語では,「お金を貸す,借りる」という約束を,「金銭消費貸借契約」といいます。金銭消費貸借契約は,法律の理屈では,借用証無しの口約束でも,1回1回の貸し付けごとに複数成り立ちます。そして,貸したお金を返して欲しいという裁判を起こしたときには,お金を貸した側(訴えを起こした原告側)で,,金を借主に渡した年月日,渡した金額,お金を返してもらう返済の合意があったこと,な嶌僂諒法(いつまでに,どのような方法で返すことにしていたのか),ね息や遅延損害金の条件を付けていたのなら,その条件,について,できるだけ具体的に主張して,証拠を用意して証明していくことになります。

 借主が,貸主が裁判で主張する内容を部分的に認めるところがあれば,認めた事実については証拠がなくとも裁判所は前提としますので,その部分に限っては証拠がなくてもなんとかなりますが,借主が先ほどのような反論をしてきた場合には,貸した側が困った事態に陥ることになりかねません。というのも,平成25年12月10日に100万円というまとまったお金を貸したわけではないので,その点では借用証の記載は正確ではなく,借主の言い分が正しいことになりますので,そうすると,貸した側で,これまで貸し付けた金額が100万円に達していることを,具体的に主張・立証するよう,裁判所が求めてくることがあるからです(この例の借用証自体が,金100万円を借主が受け取っている証拠になることもあるのではないかとお気づきになられた方もいるかもしれませんが,実際の裁判ではそう楽観できないこともあります。)

 ところが,貸した側でも,1回1回の貸し付け時期や金額を正確にメモする等控えておらず,自分の記憶だよりで大まかな金額だったり,もともとは1回1回借用証を書いてもらっていたのに,最後に総額をまとめた借用証を作ったことで,過去の借用証を捨ててしまう(ないしは保管が疎かになり,なくしてしまう)場合もあります。このような場合,過去の貸し付け状況を再現するのに,貸すためのお金を引き出している預金口座の履歴(通帳や,銀行が発行してくれる預金取引明細書)だったり,借主の預金口座への振り込みの控えの記録が残っていれば,その手がかりとして有益ですが,手持ち現金やいわゆるタンス預金からお金を手渡していたりすると,そういった手がかりとなる記録も残りません。しかも,預金口座からの引き出し履歴があったとしても,その履歴から直接読み取れる内容(その履歴から証明できる事実)は,正確には「○年○月○日に,○○円を引き出した」事実のみであり,その引き出したお金が貸主から借主に渡ったという事実まで証明するものではありません(例外として,預金口座から直接,借主へ振り込みした場合には,振込先の記載が出ます。)。加えて,貸すためのお金を預金口座から引き出していたにしても,別の用途に使うために多めに預金を引き出していたりした場合には,実際にそのときいくらを貸す分に回したのか,貸主ですらはっきり覚えていないということも起こりえます。

 さて,話は戻して,どうしておいたら,先ほどのような困った事態を回避できたのでしょうか。

 最善策は,お金を貸すような事態を回避するのが望ましいのでしょうが,やむを得ず貸すことになってしまったときにも,前述の大事な点を記載した借用証を用意した上,借主に署名押印をしてもらうこと(このとき,借主の印鑑は,実印であることは望ましいですが,実印ではなくても借用証としての効力に影響するものではありません。署名は必ず借主本人に書いてもらうことです。),貸す予定のお金は,借主名義の預金口座に振り込みする(振込の手段がとれず手渡しするときには,借主には領収証に署名押印してもらう。)ことです。借主に署名押印してもらったときには,必ず年月日も記載しておきましょう。

 このように,貸主としてできる限りの借主に対する対策を講じ,裁判での証拠としても十分で,裁判所が請求どおりの金額を支払うよう命じる判決を出してくれたとしても,裁判所が借主に代わってお金を立替払いしてくれるわけではありませんし,判決をもとに借主の財産に対する強制執行をしようとしても,差し押さえの対象となりそうな借主の財産がない(差し押さえできる程度に特定できない)と,「絵に描いた餅」になってしまうこともあります。そもそも,返済の約束をしていたのに払ってもらえない場面ですから,借主側にお金に余裕がないことも多いのです。

 銀行等の金融機関が,万一に備えて貸し付けの際に連帯保証人や不動産等の担保を要求することがあるのはそのためですし,無担保での融資に応じてくれる場合も,ある程度小口の融資で,返済能力に関する一定の審査の上,多数の方に利息を付けて融資することで,回収不能のリスクを分散させることができるからです。一般人のレベルでは対策にも限界があります。

 弁護士がご相談やご依頼を受ける場面としては,,海譴ら貸そうとする場面と,貸してしまった後の場面,に大別できます。いずれの場面でも,現状でなし得る最善な方法は何かを一緒に考えてご提案させていただくことになるわけです。

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