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障害者差別解消法の成立と条例制定運動について

1.障害者差別解消法が成立しました

 平成25年6月19日,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」といいます。)が成立し,同月26日に公布されました。
 同法は,平成28年4月から施行される予定です。

2.立法の背景

 障害者施策に関しては,平成18年に国連において「障害者の権利に関する条約」が採択され,日本でも同条約の批准に向けて国内法の整備を進めてきました。
 平成23年,障害者基本法の改正が行われ,基本原則として「差別の禁止」が規定されました(4条)。
 障害者差別解消法は,この基本原則を具体化するものといえます。

3.障害者差別の例

(1)

 以下の例は,障害を有する方が差別と感じてきた事例や,実際に裁判等で争われた例です。
・身体の障害を理由として入学や採用を拒否されたり,解雇されたりした。
・国会中継に字幕が無く,聴覚障害者が理解できない。
・雑貨店が盲導犬の入店を拒否したため,視覚障害者が入店できない。
・長距離移動の鉄道に車いす専用のトイレがないため,車いす利用者が鉄道を乗車できない。
・パニック障害の会社員は朝の通勤ラッシュに耐えられないので,出勤時間をずらして欲しい。

(2)

 以上のような事例において,障害者差別解消法がどのように機能しうるか見ていきましょう。

4.差別解消措置

(1)

 概要
 障害者差別解消法の中心的な規定は,差別解消措置に関する規定です。おおむね以下のような内容が定められています。
 義務主体(行政機関や事業者)は,
〆絞姪取扱いを行ってはならない 合理的配慮を行わなければならない

(2)

 〆絞姪取扱いの禁止
 障害者でない者との,不当な差別を禁止しています。たとえば,障害を理由とする入学拒否などはこれに当たります。

(3)

 合理的配慮

 

 障害者が義務主体に対して配慮を求めた場合で,義務主体の負担が重すぎないときには,合理的配慮をする必要があると定められています。たとえば,パニック障害の会社員の通勤時間をずらしてもらう,という事例がこれに当たります。

 

 ただし,義務主体のうち行政機関については「配慮しなければならない。」と規定されているのに対し,事業者については「配慮するように努めなければならない。」と規定されており,努力義務にとどまっています。

(4)

 違反した場合
 義務主体が上記の差別解消措置を行わなかった場合にはどうなるのでしょうか。
 これについては,障害者差別解消法には明文の規定はなく,民法等の一般法に従って判断されることになります。
 具体的には,差別を受けた方が義務主体に損害賠償を請求したり,義務主体による解雇等の処分が無効であると主張する場合などに,障害者差別解消法の規定を根拠として,義務主体の行為が違法だと主張していくことになります。

5.奈良県における条例制定の動き

(1)

 障害者差別解消法の制定は,障害者差別をなくすための大きな前進といえますが,課題もあります。その1つが実効性の確保です。

(2)

 実は,いくつかの都道府県では,障害者差別解消法が制定される前から,差別を解消するための条例が独自に制定されていました。
 その中でも,たとえば熊本県の「障害のある人もない人も共に生きる熊本づくり条例」では,差別を受けた障害者は県知事に助けを求められるという内容の規定があります。助けを求めた場合,専門家らで構成される「調整委員会」が,差別解消のために助言やあっせんを行うことになっています。
 熊本県のこのような制度は,差別解消の実効性を確保する上で優れた制度といえますが,障害者差別解消法にはこのような規定は設けられませんでした。

(3)

 そこで,奈良県においても,熊本県のような条例を作ろうと,現在,多くの方々が運動に携わっており,2014年度の成立を目指しています。
 皆様も,ぜひ障害者差別の問題に興味を持っていただくとともに,条例制定に向けてご協力をお願いいたします。

以 上

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